松本穂香さんと
「天空の茶園」体験
<後編>

松本穂香さんと
「天空の茶園」体験
<後編>

2019.10.31

自然な演技は、役から“教えてもらう”

朝ドラ『ひよっこ』では60年代の経済成長期に福島から上京してきたメガネの女の子を好演し、ドラマ『この世界の片隅に』では戦争の時代を生きた主人公のさまざまな感情を見事に演じきってみせた。さらには眼帯をしたYouTuberという全く違うキャラクターなども演じ、ポテンシャルの高さに注目が集まる。11月には主演作『わたしは光をにぎっている』公開を控える彼女に、演じることによる自分への作用を考えてもらった。

松本さんはいろいろな役を演じますよね。役の気持ちを自分を通して表現するということをしていると思うんですけど、そのとき自分ではない誰かにフォーカスすることでどういう状態になるんですか。自分が消えるみたいな形になるのか、どこかで自分が客観的に見ていたりとか。

役から教えてもらうことがすごく多いです。今演じている役の台詞で「私の種類は100種類くらいある」っていうのがあるんですけど、みんなの知らない私の顔もあるし、全部本当の自分だからと言えてしまうような強い子なんです。でもどちらかというと、私は元々そういうタイプじゃない人だったんですが、そういう役の持っている音とか台詞とかを日常で意識して、その視点で見てみると、ちょっと世界が広がるというか。そうしたら、そこから教わることがたくさんあるって感じたんです。そうすると台詞も素直に受け止められて出てきたり、教えてもらうことが多いです。

役に教えてもらうということがあるんですね。いくつもの役を演じるといくつもの人生を経験しますよね。ひとつの役で教えられたものが、また別のときに出てくるということはあると思うのですが。全然違う人格の違う人生を演じることが増えているなかで、自分自身どのように感じていますか。

やっぱり一度思ったことは離れないので、身に付いてはいると思います。なんて言ったらいいかわからないですが、その役もあって、この役もあってという、経験として自分の人生にちゃんと結びついていっているんじゃないかなとは思います。

 それをやったことで、自分もアップデートしていくというか。いろいろな役柄を通して教えてもらうということで、いろいろな人の人生を生きる体験として、あるいは感情としてどんどん蓄積されていく実感はあったりするんですか。

そうですね。やっぱり戦争の時代とかの役(主演ドラマ日曜劇場『この世界の片隅に』)を演じたりすると、普通に現代を生きている20歳の人だったら感じられないこととかをお芝居を通して実感することになります。戦争が理不尽だと感じて泣き崩れているところに旦那さんがやってきたときの、あたたかい気持ちみたいなものは絶対に普段の私では感じられないこと。だけど、役を通してだったら感じられる。そして、そのあたたかさは、今の状態の私にもちゃんと残っている。なので、そういう経験はちゃんと自分の中に残っていると思います。

茶畑の風を感じ、目の高さに広がる空、そして見下ろす山里の景色を感じた松本さん。豊好園園主の片平次郎さんに淹れ方を習いながらお茶を飲み、歌手の浮さんの歌声も聴いていただいた。松本さんは、そのような一つ一つの出会いが最近は必然だと感じられると言う。一瞬一瞬を大切に、ますます自分の世界を広げていると感じさせてくれるひと時だった。


【松本穂香】1997年2月5日生まれ。大阪府堺市出身。2015年主演短編映画『MY NAME』でデビュー。主な出演作品に、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS系)、映画『恋は雨上がりのように』、『あの頃、君を追いかけた』などがある。そのほか、auの「意識高すぎ! 高杉くん」シリーズのTVCMや2018-2019 JR SKISKI メインキャストなどを務める。2019年9月には主演作品『おいしい家族』が公開、11月15日公開の『わたしは光をにぎっている』でも主演を務めている。

『わたしは光をにぎっている』公式:http://phantom-film.com/watashi_hikari/
公式Instagram「週刊 松本穂香」:https://www.instagram.com/weekly_matsumoto/

Photo: Shingo Wakagi|Interview: Hiroshi Inada|Text: Yoshiki Tatezaki|Styling: Yuki Ohwada|Hair & Make-up: Haruka Tazaki
松本穂香さん衣装:ブラウス(¥34,000)、スカート(¥60,000)、ブーツ(¥62,000)/ すべてLIMI feu(03-5463-1500)

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