渋谷・宮益坂下に「B」が目印の新店舗がオープンしたことをご存知だろうか？

b8ta（ベータ）は、シリコンバレー発、新たな小売の形を提案する体験型店舗だ。クラウドファンディングサイトで紹介されそうな新発想・新開発の商品を中心に、製品の「情報」だけではなく実際に手に取って試してみるという「体験」を提供する場として注目を集めている。

売る側も買う側も嬉しいお店

スーパーフード系やヴィーガン対応などの食関連商品から、家庭向けプロジェクター、美容機器など、一つの空間にさまざまなジャンルの製品が並んでいる。目新しくて、いわゆるバズりそうなこうした商品はオンラインが主戦場という印象があるが、あえて店舗で展開する理由はどこにあるのだろうか？　ベータ・ジャパン株式会社、カスタマーサクセスマネージャーの西島和茂さんに聞いた。

「お客様にとって、良い購買体験とはどのようなものか？ そもそも小売り店舗に来る価値ってなんだろう？ （コロナ禍などによって）リテールのあり方がすごく変わっているなかで、そういった点を突き詰めていかなきゃいけないという考え方があります。その提案の一つとしての『体験型店舗』です。お客様にとっては、コメントを見ただけではイマイチ信頼できなかったり、実際に手に取ってみないとわからないことが多い。一方で、ブランドにとっては、こうした販売スペースを設けることはハードルが高い」

売る側、買う側の双方にとって嬉しいお店、というのがb8taの一つの役割のようだ。

セレンディピティを生むお店

「たとえばこういった『香り』はオンラインでは伝わらないですよね。自由にテストしていただいて『香りの体験』をしていただくと、お客様それぞれのライフスタイルに合う香り発見できるかもしれません」

おもしろいのは、こうしたルームフレグランスやプロジェクター、美容機器、飲料、食品が垣根なく並んでいるところ。フロアごとに売り場が分かれている大規模店舗ではすれ違うことすらないかもしれない商品と出合うことができるかもしれない。

予期しなかった発見、セレンディピティを生む空間には、性別・年齢問わずさまざまな人々が入り混じっている。

日本茶もライフスタイルに近く

そんな渋谷の［b8ta Tokyo – Shibuya］では、CHAGOCOROの茶葉と茶器も手に取ってみることができる。オンラインでの販売が基本だったOcha SURU? Glass Kyu-suシリーズも、サイズや重量感など含めて感じることができる。

店舗スタッフ＝ b8taテスターにお茶を淹れていただくこともできる。

「お茶の色がこんなにきれいに出るんだってことをゆっくり見ることができるのは、お客様にとって面白い体験になると思います。今後は実際にお客様自身に淹れる体験をしていただけるようになると、さらに新しい発見が生まれるのではないでしょうか。若い世代は特に、商品が自分のライフスタイルにどんな良い影響を与えるかということに意識的なので、お茶のように世界を深められるものは面白いと感じるはず。［b8ta］との相性もいいのかなと思います」

Ocha SURU? シリーズは、［b8ta Tokyo – Shibuya］［b8ta Tokyo – Shinjuku Marui］［b8ta Tokyo – Yurakucho］の3店舗で8月まで展開中。涼やかなお茶に癒されてみるのもよし、おうちでお茶を淹れるライフスタイルを想像するもよし。ぜひ足を運んでみては。

目新しい商品が、それを手に取った人たちにどのように受け取られるのか。そのフィードバックをブランドに還元するのも［b8ta］の役割だ。

「カスタマーとビジネスの両方に発見や新しい価値を届けるのが、［b8ta］の大事なミッションです」

売るだけ買うだけではない、双方向のコミュニケーションがあればこそ、お店は面白いのかもしれないと感じた。

b8ta｜ベータ
b8taは2015年に体験型ストアを米サンフランシスコ近郊のパロアルトでオープン。Retail as a Serviceのパイオニアとして約6年間新しいソリューションを先導。ミッションとして「リテールを通じて人々に“新たな発見“をもたらす（Retail Designed for Discovery.）」を掲げ、実店舗への出品をまるでオンライン広告を掲載するのと同じくらい手軽なものにし、消費者に世界中のイノベーティブな製品を発見、体験、購入できる場を提供する。
b8ta.jp
instagram.com/b8tajp

Photo: Eisuke Asaoka
Text: Yoshiki Tatezaki
Coordination: Keisuke Mizuno