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今年も新茶を祝う季節がやってきた! オチャ ニューウェイヴ フェス2024を振り返る<後編>
4回目の開催となった、新茶の季節を祝う「オチャ ニューウェイヴ フェス 2024」。原宿と北参道の間に移転した会場「JINNAN HOUSE」には日本茶や和菓子などを取り扱う店舗が計6店舗参加、さらにDJブースや急須作家…
2024.06.21 INTERVIEWイベント
2024年5月17日・18日(土・日)に開催された、新茶の季節を祝う日本茶フェス「オチャ ニューウェイヴ フェス 2024」。今年、4回目の開催を迎え、昨年10月に移転した現在のJINNAN HOUSEでは初めての開催ではあったが、両日とも多くのお茶好きの人々で盛り上がった。
今回は2日間にわたって開催された「オチャ ニューウェイヴ フェス2024」を2回に分けて振り返っていく。
まず、エントランス横のフードトラックで来場者を出迎えたのは[あんこ屋ねる]。阪根俊維さんが手作りするおはぎは、お茶との相性抜群で昨年も大人気だった。
昨年は勤めていた代々木上原のフレンチレストラン[ATELIER FUJITA]の看板を背負って参加していたが、その後独立し今回は自らの屋号で参加。独立後は、小豆の名産地である北海道へ行き、小豆農家を訪ね歩く旅をしたという。今回[あんこ屋ねる]が提供してくれた「おはぎ4種」と「冷やし煮汁こ」で用いられた小豆は、全て北海道本別町産の「エリモショウズ」という品種だ。
「エリモショウズはお茶でいうと『やぶきた』のようなメジャーな品種なのですが、ここの小豆農家さんは有機農法で栽培されているんです。そもそも小豆は栽培にすごく手間がかかる作物なので、小豆を作る農家さんはどんどん少なくなっています。そうした中で、有機で小豆を栽培している農家さんというのは本当に愛をもって小豆をつくっている方々。ぜひみなさんに食べてほしいと思い今回この小豆を持ってきました」
特にその小豆のポテンシャルが発揮されていると感じたのは「冷やし煮汁こ」。
「本来小豆の煮汁は渋くて食べられるものではないので、捨てられてしまうのですが、この豆の煮汁には嫌な渋みが全くと言っていいほどないんです。サラッとした味わいで美味しく召し上がっていただけると思います」
確かにその言葉通り、サラサラとした食感で癖がなく、飲むように食べてしまった。お茶と同様に、小豆も栽培の仕方でこんなにも味わいが変わることに衝撃を受けた。改めて、農家の思いや努力も一緒に味わえる貴重な体験だった。
あんこ屋ねる
@ankoya_nelu
会場1階のフロアに足を踏み入れると、いくつかのお店が軒を連ねていた。下北沢[ヽ-TEN-]の青木真吾さんはすっかり「オチャ ニューウェイヴ フェス」の常連の一人。今年はこのフェスのために、オリジナルブレンドティー「
「茘枝と釜炒り茶」は宮崎県都農町にある[門田製茶]の古式釜炒り茶を水出しし、ライチの風味を合わせたもの。
「いろいろな釜炒り茶を飲んできましたが、[門田製茶]の釜炒り茶にはしっかりとした主張があるんです。そして宮崎はライチも有名。それで今回限定で宮崎県産のライチを、水出しした釜炒り茶に漬け込みました」
「今淹れたのは今朝ライチを漬けたものなので、ライチがちょっと浅く入っているかもしれません」と青木さんは言ったが、逆にほのかなライチの風味にすっきりとした釜炒り茶の味わいが絶妙にマッチしていると思った。
ビビッドな色のニット帽(時には麦わら帽子)を被っていた青木さんは、大勢の人で賑わう会場の中でもすぐに目がつく。[SAKUU]で提供されていたおにぎりを頬張っていたり、[あんこ屋ねる]に「裏メニューある?」と気軽に「冷やし煮汁こ」を食べにきたり、出店者でありながらもこの祭りの空気を人一倍楽しんでいる様子が伺えた。
ヽ-TEN-
東京都世田谷区北沢2-19-2
@ten.shimokitazawa
今年も参加してくれた[norm tea house]の長谷川愛さんは、第1回目から皆勤賞。今回用意してきた2つの新茶は、どちらも宮崎県五ヶ瀬町の茶農家が作った釜炒り茶だった。
「[坂本園]さんが作った『おくみどり』と[宮崎茶房]さんが作った『みねかおり』という品種を今回持ってきました。『おくみどり』は正統派の綺麗なお茶という感じで、細く長いファンがたくさんいるお茶なんです。『みねかおり』は逆に個性派で、好きな人には深く刺さるタイプのお茶です。対照的な二つなので、飲み比べたらとても面白いと思います」
飲んでみると長谷川さんの言っていることがよくわかる。「おくみどり」は渋みが少なく、さっぱりとした軽めの味わいだったが、「みねかおり」は穀物のような香りと優しい甘みが口の中に広がっていく。毎日飲むには「おくみどり」が良いかもしれないが、たまには刺激を求めて「みねかおり」も飲んでみたい。そんなバランスの両者だと感じた。
[norm tea house]では釜炒り茶を多く扱っているが、長谷川さんに釜炒り茶へのこだわりを尋ねると「シンプルに好きなんです」という答えが返ってきた。お茶への思いを自分の言葉でまっすぐ語る長谷川さんに、なんだか元気をもらえた。
昨年は長谷川さんがディレクターを務めるお茶イベント「Tea for Peace」の取材を行ったが(記事)、今年はさらにパワーアップしたイベントを開催する予定だという。
「場所も名前も変えて、今年は『お茶と手仕事』をテーマにしたイベントを開催しようと思っているんです。作家さんの作品を販売したり、お茶も手仕事で作られているイメージがない方も多いと思うので、そうしたイメージを変えられるようなものにしたいと思っています」
「Tea for Peace」の光景を思い出すと、きっといいものになるに違いない。長谷川さんが新たに手がけるお茶のイベントが今から楽しみだ。
norm tea house
東京都台東区三筋1-11-8
@normteahouse
初参加となったのは渋谷の和菓子屋カフェ&バー[かんたんなゆめ]の寿里さん。練り切りを目の前で一つ一つ手作りしながら来場者に提供してくれた。来場者にとっては練り切りの実演を間近で見れる貴重な機会だったが、寿里さんにとっては初めての「オチャ ニューウェイヴ フェス」はどのような体験だったのだろうか。
「お店では練り切りを全て実演で作ることは、テイクアウトですぐに持って帰りたい方もいるので難しいんです。なかなかお客さんに練り切りの実演を見せる機会がないので、今回ライブで作れたのは私としても嬉しかったですし、お客さんも喜んでくれた方が多いと思います」
今回寿里さんが実演した練り切りのデザインは「紫陽花・清流・百合・チューリップ・嬉々」の5種類。その中から一つを選んでもらい、寿里さんがその場で作り上げていった。二日間で90個程度を実演で作ったというが、驚くべきはその速さだ。以前CHAGOCOROで[かんたんなゆめ]を取材させていただいた時(記事)より、作るスピードが上がっているように見える。
「イベントやポップアップで練り切りを何百個も用意する機会が多いので、だんだん鍛えられてきました。最初は100個作るとなったら夜中までかかって大変だったんですけど、最近は3時間くらいでいけるかな?と出来上がる時間も読めるようになってきましたね」
和菓子はお茶とよく合うが、意外にもお茶系のイベントに出店したのは今回が初めてだったという。「お誘いがあればお茶のイベントには今後もでたい」と語った寿里さん。是非とも、もっと多くのお茶好きに寿里さんが作る練り切りの魅力を知ってほしい。
かんたんなゆめ
東京都渋谷区神山町41-3
@kantan.na.yume
会場1階は普段、茶食堂[茶空 SAKUU]が営業するフロア。もちろんこの日も茶空メンバーが元気よくゲストを迎えてくれた。
店長の奈緒美さんが淹れてくれたのは、佐賀県嬉野[松永緑茶園]から新茶3種類「あさつゆ」「おおいわせ」「釜炒り」。目の前で一煎、そして二煎と、いつもの茶空スタイルでのおもてなしをしてくれた。いただいた「おおいわせ」は、ホッとするような甘味と旨味のバランスに爽やかな香りが鼻を抜ける新茶らしい一杯だった。
茶葉を衣に混ぜ込んで揚げる定番メニュー「茶葉から揚げ」はこの日も大人気
茶空 SAKUU
東京都渋谷区千駄ケ谷3-55-18 JINNAN HOUSE 1階
@jinnan.house
1階のストアでは、急須作家・伊藤雅風さんの作品が特別に展示され、抽選制による販売も行われた。
常連さんも初参加の方も、それぞれの素敵なこだわりが存分に楽しめたオチャ ニューウェイヴ フェス 2024。お茶を起点に、多くの個性的なプレイヤーがいることがとても嬉しく感じる時間でもあった。
後編では、JINNAN HOUSE地下1階のギャラリーに軒を構えた出店者たちをご紹介! 地下の雰囲気と相まってディープな方たちがそれぞれのお茶を表現し合っていた。
Photo by Misa Shimazu
Text by Rihei Hiraki
Edit by Yoshiki Tatezaki
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内容:フルセット(グラス3種、急須、茶漉し)
タイプ:茶器
内容:スリーブ×1種(素材 ポリエステル 100%)
タイプ:カスタムツール