伊藤園
「OchaSURU?02 MEGAMI」
(鹿児島めがみ リーフ)
内容量:40g
タイプ:リーフ
私たちの日常のライフスタイルがたえず変化するなか、お茶のあり方はどうだろうか。「暮らし」と「お茶」との間に「問い」を立て、現代の感覚で私たちなりの「解」を探求する企画「Ocha SURU? Lab.」。その探求の道のりの中で、皆さまの日常の中の「お茶する」時間がより楽しいものになればという想いとともに、CHAGOCORO編集部が総力を挙げて研究を重ねていきます。
今回はLicaxxxさんと一緒に、これまでとは少し違った「お茶+α」の楽しみ方を試してみます。「Ocha SURU? Glass Kyusu」を使って、フレッシュハーブやシロップを使ったレシピを、VISION GLASS JPの小沢朋子さんに教えていただきます。Licaxxxさんのお茶研究のインタビューと合わせてお楽しみください。
— 前回の[kabi]から少し時間が経ちましたが、その間の“お茶研究”はいかがでしたか。
Licaxxx 最近はまだまだ暑いから、水出しで飲むことが多いかな。通販でいろいろ買って試してました。通販やってるところたくさんあるから、もう、『鹿児島 お茶』とかで検索して、出てきたものを上から見ていって注文しやすそうなところ選ぶみたいな。
— まず九州の方からいった感じですか。
Licaxxx あと、「ゆたかみどり 通販」とか。品種でもなんでもやったかな。
— なるほど、品種で探して、美味しければ、他の生産者さんでもあるかなみたいな感じですね。
Licaxxx そうそう、いろんなところがあるから。まずは買いやすそうなところだったらどこでもいいかなと思って。飲んでみないとわかんないし。
— いろいろなところから買うと、茶葉がどんどん溜まっていきませんか。
Licaxxx いや、結構飲んじゃいますね。フィルターインボトルも今2本あって、水出しして冷蔵庫に入れておくんですけど、なくなるの早い。玉露とかは残りやすいんですよね。水出しでガバガバ飲むもんじゃないよな、って思うと……。
— 大事に少しずつという気持ちが働きますよね。でも面白いですね。Licaxxxさんは最初、旨みの強い玉露でお茶の味に目覚めたじゃないですか。でも、いろいろ飲み慣れていくと、日常でスイスイ飲める方が量としては飲んでいたり。
Licaxxx そうですね。でも、ゆたかみどりとか甘みが強いやつを水出しで飲むと、ほんと超甘い。それがおもしろくて。なんかお茶っぽい味がしないっていうか、それけっこうおもしろいなって。
— 最初の回でも温度の違いによる味の違いを体感していただきましたけど、改めて、お茶には主に「渋み=カテキン」「苦み=カフェイン」「旨み=テアニン」という3つの成分がありますよね。渋みと苦みは温度を下げると出にくくなるので、今言った旨みとか甘みの方が強く感じられるようになると。逆に、高い温度で淹れて、渋み・苦みをしっかり出してあげると、いわゆる“お茶っぽい味”が強くなる。そういう図解チャートも作ったりしたんですけど、Licaxxxさんはもう理解している感じですね?
Licaxxx そうですね。大体頭に入ってる。
— さすがです。そういった基本がわかると気分によって自分なりに淹れることもできて、奥が深いですよね。最初はスーパーとか手の届くところで買っていたのが、徐々に通販で、生産者さんやお茶屋さんから買うようになってきて、お茶の世界って広いな、とかって感じていますか。
Licaxxx そうですね。あと意外に安いから買いやすいんですよね。いいものでも2,000〜3,000円で買えるから、けっこう試しやすいかなって感じる。あと、「めちゃくちゃまずい!」っていうのはないから。「普通に美味しいな」か「めちゃめちゃうまい!」ってなるか、どっちかって感じ。
— 確かに、ある程度安心してどんどん挑戦できますね。ハズレがないっていうのは、レコードを掘っている方からするとすごいことですよね……。
Licaxxx そう、使い物にならないってことはないですからね。
— お茶をもっと深掘りするとして、新たに興味が湧いてきたことはありますか。
Licaxxx お茶とどんなものを組み合わせられるかなっていうのは気になります。食べ物もそうだし、お酒とかに対する割りものとしてのお茶とか。器とかも少しずつ買ってます。なんでしたっけ?
— おうちにお客さんが来たときは完璧に対応できますね。ちょうど組み合わせというお話がありましたが、今日はハーブの香りやシロップをお茶に合わせる方法を教えていただこうと思っています。「Ocha SURU? Glass Kyu-su」で使われているVISION GLASSというインドのガラスメーカー。このブランドを日本で扱っている小沢朋子さんはフードデザイナーとしても活躍されていて、本日は3種類のお茶とハーブの組み合わせを用意してくださいました。小沢さん、早速ですがよろしくお願いします。
小沢 はい、よろしくお願いします。まず深蒸しの煎茶に合わせるものを作ります。お茶は水出しで、旨みを感じるように淹れます。3分待っている間に、レモングラスとスペアミントのフレッシュハーブを熱湯で1分ほど浸出させます。
Licaxxx 前に家で、フィルターインボトルに茶葉とレモングラスとミントを一緒に入れてやったことあるんですよ。
小沢 すごい、同じ組み合わせだ。
Licaxxx ただ水を入れて、冷蔵庫に入れておくってやつ、やりました。
小沢 どうでした?
Licaxxx ミントを結構入れないと、ただ“タイみたいな味”になる(笑)。多分レモングラスを入れすぎたんでしょうね、レモングラスが優勝してて。その時は、ミントはフレッシュで、レモングラスはドライのものを使いましたね。
小沢 生とドライで味も香りも変わりますね。ミントの方も1分くらいお湯で出したら、そこに氷を入れて冷まします。お茶ももう3分経ちますね。茶こしを使ってミントのグラスに注いでいきます。
Licaxxx あ、爽やかな。おいしいですね。(レモングラスも)ちょうどいいです。
— ハーブティーと煎茶をそれぞれ淹れて合わせるという感じですが、簡単ですね。グラスで淹れてそのまま飲める。
小沢 水出しした深蒸しのお茶の旨みに合わせるイメージです。料理にハーブを入れているみたいな。「香り+香り」じゃなくて、「旨み×香り」ですね。
Licaxxx 参考になります。ハーブは熱いので淹れた方がいいとか、後から合わせる方がいいっていうのは勉強になりました。
小沢 よかったです。私より、ずっとお茶飲んでるだろうなって思うので。
— もう一杯、煎茶で、今度は自家製のシロップを使ったものですね。
小沢 今度はお茶を熱湯で出します。グラスに氷を入れておいて、急冷のお茶を作り、シロップを入れて、炭酸を加えて完成です。シロップの甘みと炭酸も入るので、お茶は結構しっかり目に出したいです。
— 茶葉を見れば頃合いが分かるようになってきましたね。
Licaxxx これ以上開かないだろうなっていう形がわかってきた。
小沢 そこにシロップを大さじ1〜2くらい、お好みで大丈夫です。最後に炭酸で割ります。
Licaxxx あ、おいしい。甘さもちょうどいい感じになってます。ちゃんとお茶の味もするし。お茶を炭酸で割るのもやったんですけど、ただ渋くなったって感じでした。でもシロップとかが入ると美味しいですね。レモンスカッシュに近いけど、レモンより飲みやすいっていうか。
— レモンヴァーベナ一種類でも複雑な味わいですね。
小沢 やっぱり緑茶との組み合わせでしょうね。シロップに負けないようにというか、熱湯氷出しがバランス取れるかなと。基本は優しい味わいですが、炭酸を入れて刺激も加わる感じです。
— 味や香りがどう構成されているか、そういった解像度が上がるとまた楽しいでしょうね。
小沢 味を頭の中で分解して考えられると、それを再構築するみたいな感じで、「お茶もこれはこういうお茶か」と味わえるようになると、味の組み合わせとか相性とかも考えられて楽しいですね。
Licaxxx お茶っぱ使う料理も結構やったんですよ。お茶っぱを使った唐揚げを食べさせてもらって、実際唐揚げに混ぜてみたりとか。お茶は動物性タンパク質と合うから、シャケに香草と一緒に乗っけて焼いたりしました。テアニンがグルタミン酸の仲間で、昆布とかと旨みが似てる、イノシン酸と合わせると美味いみたいなことを読んで、なるほどなと思って、魚とか肉とかでやってみたら、美味しかった。
— すごい。Licaxxxさん、飲むだけじゃ飽き足らずですね。
Licaxxx めっちゃ飲むと茶葉も大量に出るじゃないですか。もったいないなぁ、食べてみようかなみたいな。
— いいお茶だったら食べられますしね。
Licaxxx ね、茶葉ごと食べられますしね。
お茶の楽しみ方をますます深めているLicaxxxさん。次回はもう一種類のシロップティーを作りながら、音楽について、お茶について、発展の可能性を考えていきます。
Licaxxx|リカックス
東京を拠点に活動するDJ。Fuji Rockなど多数の日本国内の大型音楽フェスや、CIRCOLOCOなどヨーロッパを代表するクラブイベントに出演。ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。レストランシェフに教えてもらってお茶の面白さに目覚め、自ら淹れたお茶を日々たっぷり楽しんでいる。
instagram.com/licaxxx1
twitter.com/Licaxxx
小沢朋子|Tomoko Ozawa
VISION GLASS JP代表。インテリアデザイナーとして剣持デザイン研究所に勤務した後、2010年からフードデザイナー「モコメシ」として活動。「食べるシチュエーションをデザインする」をコンセプトに飲食店向けのメニュー開発、広告のスタイリング、ケータリングのほか、食を絡めたインスタレーション作品の制作を行う。
mocomeshi.org
instagram.com/mocomeshi
今回ご紹介いただいた「レモンヴァーベナのシロップ」は、家庭で気軽にケータリングを楽しんでもらうためのオンラインショップ「Catering for me!」でご購入いただけます。
cateringforme.com
Photo: Masaharu Hatta
Interview & Text: Yoshiki Tatezaki
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内容:フルセット(グラス3種、急須、茶漉し)
タイプ:茶器
内容:スリーブ×1種(素材 ポリエステル 100%)
タイプ:カスタムツール