伊藤園
「Ocha SURU? Glass Kyu-su 01」
【OSGK-01】
内容:フルセット(グラス3種、急須、茶漉し)
タイプ:茶器
私たちの日常のライフスタイルがたえず変化するなか、お茶のあり方はどうだろうか。「暮らし」と「お茶」との間に「問い」を立て、現代の感覚で私たちなりの「解」を探求する企画「Ocha SURU? Lab.」。その探求の道のりの中で、皆さまの日常の中の「お茶する」時間がより楽しいものになればという想いとともに、CHAGOCORO編集部が総力を挙げて研究を重ねていきます。
前回に引き続き、小沢朋子さんのシロップティーをいただきながら、Licaxxxさんとお茶の楽しみ方を話し合う、Ocha SURU? Lab.シーズン最終回。前回作った煎茶+レモンヴァーベナのシロップを飲んでいただきながら、音楽とお茶について聞いていきます。最後にはほうじ茶と合わせるシロップも試しながら、ますますお茶にハマるLicaxxxさんのお茶の楽しみ方を聞きます。
— お茶をいただきながら、Licaxxxさんの本業である音楽の話も聞かせてください。コロナ禍で音楽業界もさらに厳しい状況だと言われていますが、Licaxxxさんはどのように感じていますか。
Licaxxx CDが売れなくなって、ライブや現場の方に音楽の経済活動の主軸が移っていたんですけど、そこが無くなった。ちゃんとした音で体験できる場がなくなって、それぞれ家庭環境で聴く音のレベルはかなりばらつきがあると思っていて。それをライブとかで補えていたと思うんですけど、家で聴くってなると、伝えられる部分が半分以下とかになっちゃう。そこが今大変なところだと思います。でもその中で、アーティストはアーティストでやりたいことをやってる人と、従来のままどうしようってなっている人と、かなり分かれてきたなと思っていて。でも、それは悪いことではないかなというか、次のフェーズに進むチャンスを与えられたみたいな感じはあると思います。大きいマーケットにしろ、アンダーグラウンドのマーケットにしろ、やっぱり現場を主軸としてお金を回してたっていうのは事実なんで、そこに頼らずともちゃんと経済活動を回せて、かつその体験ができるという方向に向かっていくための「未来の音楽のあり方を考えよう」じゃないですけど、みんなで考えなきゃいけないという雰囲気になったので、悪いことではないかな。ポジティブに考えてるって感じですね。
— 確かに。必要に迫られて、いろんなものが動き出してるかなっていうのはむしろ期待としてあります。
Licaxxx だから、発展するところはすごく発展するのかなって。文化活動はより面白くなる段階に来ているのかなって感じはしますね。あと、技術的なことで期待してるのは、スピーカーとか聴く環境が発展して、安くてもちゃんといい音が聞けるみたいな状況ができることかな。テレビはみんな4Kだ8Kだって買うけど、スピーカーって二の次みたいな感じがあると思うので。音楽ってやっぱり共有するのが楽しいから。一人で聞いているよりも、みんなに向けて鳴っているものがよりよく聴こえると思うし、結構大事かなと思いますね。
— クラブカルチャーはコロナ以前から逆風の中にありましたが、その中でLicaxxxさんはどのように活動していこうと考えていますか。
Licaxxx そうですね。新しい楽しみ方みたいなのを積極的に開拓していくべきだなと思っています。DJの配信は以前からあったものなので、さらにその次に行けるためのものを考えないといけない。現場でのコミュニケーションの要素をチャットだけじゃなくて副音声でやってみたり、今ある技術でやれることってけっこうあると思うので、新しい形とか古い形とかって囚われず試しながら。あとはもっとゲーム感覚的な感じで、完全に3Dで、その中に入り込んで楽しむ方法もあったりだとか、そういういろんなタイプの楽しみ方に挑戦しまくるみたいな。
—音楽と掛け合わせることで、お茶を飲む新しいシーンが広がったら面白いと思うのですが、いかがでしょう。
Licaxxx 単純に、バーとかクラブとかにもいいお茶が入ったらいいなと思います。クラブってソフトドリンクが全然なかったりする。ノンアルコールカクテルバーみたいなのも流行ってるし、もうちょっと気軽にいいお茶が、お酒みたいにメニューに入ってたらいいなっていうのはあります。
— クラブで、お茶。
Licaxxx 全然ありだと思うんですよ。フェスとか昼間だと特に、コーヒー飲んでいる人多いんですよ。お酒飲めない人は、お茶とかいろんな種類欲しいっていうのはよく聞きますよね。別に昼間だけじゃないと思うんですよね。コーヒースタンドにお茶があるのは割と普通になってきたけど、お茶あったら、お茶頼むし。
— そうなんですよね。夜のシーンって意外とお茶がない気がします。
Licaxxx うん。でも全然飲みたいと思う。甘いものとかにも何でも合うし。飲食の場に意外とないのがお茶だったから。
— “意外と“ないですね。
Licaxxx そうなんですよね、逆に気になってきたっていうか。
— お茶がないことに引っかかるっていう。
Licaxxx そうそう、あっていいんじゃないかな、別に違和感ないよなって感じはしますね。
— そうですね。ではそろそろ最後にもう一杯作りましょう。
小沢 最後は本当にシンプルで、温かいほうじ茶にこのシロップをお好みの量を入れて飲んでいただくというものです。これから涼しくなってきますし、ロシアンティーのような感じで、シナモンリーフとヒソップっていうハーブを煮出したシロップです。
Licaxxx ヒソップ? 知らないですね。
小沢 葉っぱも食べられますよ。ちょっとミントっぽいとかも言われるんですけど、肉料理に合います。シナモンは少し甘い香りです。
—Licaxxxさん、ほうじ茶も飲みますか。
Licaxxx ほうじ茶も飲みます。ほうじ茶も夏は水出しできますよ。
— 水出しも美味しいですよね。
小沢 アイスのほうじ茶にこのシロップ入れても美味しいですよ。今回は温かく淹れていきますね。
Licaxxx ほうじ茶の香りと一緒に、甘くて優しい香りが……おいしい。めちゃくちゃ飲みやすいチャイみたいな。
小沢 そうなんですよ、紅茶みたいな。ちゃんと香ばしいんだけど、ちょっと紅茶っぽい。
Licaxxx これ、めっちゃいい感じ。エグさゼロ。これはおいしい。うん、香りがちゃんとあって、でも優しい。
— Licaxxxさん自分で
Licaxxx ね、欲しいんですよね。今は、フライパンでやってるんですけど。
— おお、やってる。
Licaxxx 一応、一個のパックで全種類やろうと思っていて。温かいの淹れて、冷たいの淹れて、ほうじもやってみて、一番美味かった飲み方で飲んでいます。
— それはすごいです。この期間でめちゃめちゃ深めましたね。
Licaxxx 多分マニアですよ。ハマると一通り全部やっちゃうかもしれないです。意外とお茶も男性の方がハマる気がするな。コーヒーの道具もかっこいいものが多い気がするから。お茶は割と女性的なイメージがあるけど、蒐集的な意味でも男性の方がハマりそうな気がしますよね。
— 自分が好きな飲み方を検証するっていうのが、すごく尊敬します。
Licaxxx 新しいサイトに行ったら浅蒸しと深蒸しと買って、どっちが水出しで美味いかなっていうのはやりますよ。あとInstagramで地方のお茶屋さんを見るっていうのもやりましたよ。写真は渋いんですけど、キャプションは娘さんか息子さんがやってるんでしょうね、テンションがすごくて、かわいいなぁって。
— そんな楽しみ方が(笑)。お茶を飲みながら終日やってる?
Licaxxx やってるやってる、掘りがいがある。
— この前、とある生産者さんが「お茶でモテたいんです」と言っていて。お茶で、モテる。可能性ありますかね?
Licaxxx ある……何でも詳しければモテる、と信じてる。ポーズで飲んでるのはダメですけど、ちゃんと茶葉とか説明してくれたら、多分。
— でもLicaxxxさんのお茶研究が驚くほど進んでいましたし、それはすごく嬉しいです。
Licaxxx けっこう自然にやってますね。畑も行きたいですね。茶摘みってイチゴ狩りぐらい流行りそうな気がするんだけどなあ。
— 新茶の時期にはぜひ行きましょう! 最後に、「お茶面白そうだなぁ」と思っている方に一言いただけますか。
Licaxxx なんだろうな……まず飲んでみる。最初に感動できるといいんですよね。とりあえずティースタンドみたいなところへ行ってみるのもいいと思うし、いきなり形から入って茶器を買ってみるとか。私はどっちかっていうとそっちだし。知らなかったでしょう?ていうお茶の面白さはありますからね。
飲めば飲むほど、話せば話すほど、お茶の話題は盛り上がります。記事には書ききれなかったですが、今後開拓すべき新しい楽しみ方のヒントも得られました。たくさんのお茶を(ご自宅でも)試してくれたLicaxxxさん、ありがとうございました!
今回生まれた茶器「Ocha SURU? Glass Kyusu」は今後も改良を重ねていく予定ですので、ご注目ください。
Licaxxx|リカックス
東京を拠点に活動するDJ。Fuji Rockなど多数の日本国内の大型音楽フェスや、CIRCOLOCOなどヨーロッパを代表するクラブイベントに出演。ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。レストランシェフに教えてもらってお茶の面白さに目覚め、自ら淹れたお茶を日々たっぷり楽しんでいる。
instagram.com/licaxxx1
twitter.com/Licaxxx
小沢朋子|Tomoko Ozawa
VISION GLASS JP代表。インテリアデザイナーとして剣持デザイン研究所に勤務した後、2010年からフードデザイナー「モコメシ」として活動。「食べるシチュエーションをデザインする」をコンセプトに飲食店向けのメニュー開発、広告のスタイリング、ケータリングのほか、食を絡めたインスタレーション作品の制作を行う。
mocomeshi.org
instagram.com/mocomeshi
今回ご紹介いただいた「シナモンリーフとヒソップのシロップ」と前回の「レモンヴァーベナのシロップ」は、家庭で気軽にケータリングを楽しんでもらうためのオンラインショップ「Catering for me!」でご購入いただけます。
cateringforme.com
Photo: Masaharu Hatta
Interview & Text: Yoshiki Tatezaki
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内容:フルセット(グラス3種、急須、茶漉し)
タイプ:茶器
内容:スリーブ×1種(素材 ポリエステル 100%)
タイプ:カスタムツール