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「整える」ってどういうこと?parkERs 梅澤伸也さんとK-Raku Style 森田敦史さん<前編>
初対面のお二人が、お茶をしながら考える parkERs(パーカーズ)は、人気のフローリスト[青山フラワーマーケット]を運営するパーク・コーポレーションが立ち上げた、グリーンを活かした空間デザインや室内緑化をプロデュースす…
2019.12.17 CHAGOCORO TALK
グリーンを活かした空間デザインや室内緑化をプロデュースするparkERs(パーカーズ)のブランドマネージャー梅澤伸也さんと呼吸整体師の森田敦史さんによる対談。この日が初対面だった二人だが、居心地抜群のparkERs新オフィスで煎茶を飲みながらのお話に、距離はすぐに縮まった様子。二煎目が入り、話はさらに深まっていった。
—同じ茶葉の二煎目です。少し熱めのお湯でいれてみます。
梅澤 一煎目と二煎目で温度も変えるんですね。
—静岡県天竜地区、山間部で採れる浅蒸しのお茶で、上品な甘みとすっきり繊細な後味が特徴です。一煎目はお湯の温度を下げて、旨みを楽しんでいただきました。熱いお湯でいれると渋みのカテキンと苦みのカフェインが多く出ますので、二煎目では旨み、苦み、渋みのバランスのいいお茶を飲んでいただこうと思います。
梅澤 森田さんの本に、振り子の球の重心が下にくる感覚に一瞬でもいいから常に気を向けるといいと書かれていて、それを早速実践してみています。確かに、一旦整う感じがします。
森田 つまり整えるというのは、整えたらおしまいではなくて、整えつづけることが大事。ただそればかりを意識していては仕事になりませんから、いかに日常の中で習慣として組み込むかということだと思うんです。
梅澤 油断すると流されてしまいますよね。席にいても、他の人に「ちょっといいですか?」と声をかけられたりとか、メールに気が向いちゃったりとか。本当にやらないといけないことって夜7時過ぎないとできないみたいな。多くのサラリーマンがそんな状況だと思うんです。でも、その合間合間に一瞬フッと自分を見つめる時間を設けて、どんな身の振り方が必要なのかなと立ち止まる。いいことを聞いたなと思います。
森田 立ち止まったほうが得なんです。「立ち止まらなきゃいけない」じゃなくて、得なんです。物事を早く解決したいんだったら、立ち止まったほうがいいんです。物事ってこうまっすぐと上がりつづけるということはないので、上がっている期間もあればモヤモヤ期もあって、一度落ち込んだ後にボンと上がるんです。
梅澤 僕は勇気をいただきました。
梅澤 植物はあくまで手法であって、我々はそれを通じて自分に気づいてほしいんです。新芽が出たとか花が開いたとか、そういう小さな変化を気づかせたいなと思っていて。本当の「働き方」って、自分の「成果の出し方」を知ることじゃないかなと思っているんです。人は必ずやることに対して何かしら成果や目的があるわけで。一律にこれをやりなさい、あれをやりなさいという時代でもないような気がしていて、その成果の出し方を個々人に早く気づいてほしい。
森田 素晴らしいです。僕もスタッフを雇うときに、朝が得意か夜が得意か聞いたりするんですけど。本当は朝が苦手なのに我慢して、本来の成果を出せずに辞めていく人って意外と多いと思います。「10時だったらなんとか」とか言う。
梅澤 「なんとか」だったら、成果も「なんとか」になってしまいますからね。
森田 実際、ある人は「11時」ってワードを出したら、目がパッと開くんです。それでいいじゃないですか。色んな遠慮とかがあるんでしょうけど、やっぱり本人がそこに気づけないんです。選択ができるこれからの時代を生きる人にとって、自分を知るというのがかなり重要になってくる。ただ、それを「強い意志を持つ自分」というふうに勘違いするんですが、そうではないと。単純に自分のことに気づくだけなんですけどね。
—お茶をいれるときの呼吸についても、森田さんは自然がいいとおっしゃいますね。そのとき、急須など物の方から「触れられている」という意識を持つともっといいと。
森田 例えばお盆があって、これ場所はこんな感じで(ただ移す)というのと、こう(ひとつずつ見ながら置いていく)同じ場所ですけど違うんです。実際に整体をするとき、こういうことをすごく大事にするんですけど。
森田 見ているだけで変わるのが面白い。梅澤さんも触ってほしいんですけど、自分に余裕がないときは物を自分が「持っちゃう」んです。でもちゃんと調和がとれていると、必ずそれを「感じている」自分もいるんです。
梅澤 扱いが優しくなるというか、人に対するのと同じような扱いになりますね。
森田 「聴く」という言い方もあるんです。耳なんです。それがないと、ただ持つだけになる。
梅澤 うちも、植物を育てるのがうまいスタッフは「聴く」と言います。問診するじゃないですけど、問うらしいんです。そうすると答えが返ってくるというスタッフがいます。
森田 持った瞬間、持たれているという、持ちつ持たれつなんです。思考と本能のバランスというか、調和だと。人間って、何か物を見た瞬間、まだ触れていなくても、もうすでにその触感とか固さとかを認知しているそうです。だから、触れるというのは、触れようと思った瞬間からもう始まっているということですね。
梅澤 「聴く」っていい言葉です、確かに。所作が荒くなっているときって、呼吸も荒いんですよね。でも意識できていない。触るときに、その呼吸に気づいていたら、自分の状態もわかるわけですもんね。
森田 好きなことをすることの良さってそこにある。すごく好きなものって撫でくりまわすじゃないですか。
梅澤 変な話、嗅いだりします。そのくらい愛でます。
森田 感じることから始めるんですよね、好きなことって。
梅澤 今日はとても勉強になりました。
森田 ありがとうございました。
梅澤伸也
1980年、群馬県生まれ。パーク・コーポレーション parkERs(パーカーズ)事業部 ブランドマネジャー。ソニー・ミュージックエンタテインメント、楽天を経て現職。アフリカ・ケニア旅行で自然や植物の潜在的な力に触れたことがきっかけとなり、パーク・コーポレーションへ転職。2013年、parkERs事業部を立ち上げた。
www.park-ers.com
森田敦史
K-Raku Style代表、呼吸整体考案者、呼吸・整体勉強会代表。13歳で罹患した難病クローン病を自力で克服。その際に掴んだ「ふだんの息づかい」に着目し、独自メソッドを構築する。ノウハウの根底にある人間としての在り方の重要性を提唱しながらホリスティックな視点で情報を発信している。東京・渋谷での個人セッションで呼吸メソッドを伝えるほか、プロ向けの講習、一般向けの講座、重度脳性麻痺等の障がい者ケアにも尽力する。著書に『なにもしていないのに調子がいい ふだんの「呼吸」を意識して回復力を高める』(クロスメディアパブリッシング)。
k-raku.jp
Photo: Junko Yoda (Jp Co., Ltd.)
Edit & Text: Yoshiki Tatezaki
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