• カイノユウ

    モデル

    SCROLL

    人それぞれお茶それぞれの多様な「色」を感じることで、多様性の大切さを感じる特別企画。

    自然の恵みと人の手によって育つお茶をひと口、目を瞑って、ひと呼吸。
    香りや温度、重さや舌触り、空気との触れ合いを経て、目に見える以上の、
    その人にとっての「お茶の色」が心に浮かぶ。

    一人ひとりの感性によりそう、お茶の多様性。あなたにとって、お茶はどんな色ですか?

    カイノユウ(モデル)

    2014年から本格的にモデル活動をスタートさせ、ファッションやコスメブランド、ライフスタイル誌など幅広く活躍しているカイノユウさん。凛としたクールな表情が魅力のカイノさんにはお茶が似合います。自身のお茶ブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」は、COLOURSに参加してくれた小谷美由さんやharu.さんなども愛飲していて、すっかり「お茶の人」という横顔も定着してきました。静岡市出身、お茶は自然と飲む存在だったというカイノさんが思い浮かべる“お茶の色“を聞きます。

    サテサテの深蒸し茶は、いくつかの産地のブレンドの煎茶。友人などにさまざま試飲をしてもらって感想を聞きながら、いつも飲みたくなるような味を作り上げました。

    快晴だったこの日。青空の下でお茶を淹れて、お茶を飲んでみます。カイノさんが「お茶」から思い浮かべる風景は何なのでしょうか?

    「高校の頃、部活の朝練で毎朝6時に、校門が開くのと同時に学校に入っていました。だから、昇りたての朝日を浴びて自転車で学校に向かうというのが日課で。と同時に、うちの実家ではほぼ自動的にお茶が出てくるので、毎朝絶対お茶を飲んでから家を出るというのも日課の一部でした。空気も澄んでいて、心洗われるじゃないですけど、『朝いいな』って思えます。それがお茶とつながる部分があるなって。開放感があって、楽しかったイメージがあります」

    住宅街に朝日が差し込み、人々も少しずつ動き始める束の間の時間。早朝から気合を入れて部活に急ぐ緊張感と同居する、澄んだ空気を独り占めするような開放的な気持ち。自由を実感させてくれるような朝の空気、共感できる方もいるのでは。

    サテサテを始めてお茶の生産現場にも行く機会を得て、感じるのはお茶が生き物だということだと話してくれました。

    「この前[いはち農園]さんに行った時、採った茶葉が熱を持つというのを実際に触らせてもらって、『すごい、生きてるんだな』って思いました。お茶が生き物だということはなんとなく思っていたけど、熱を発しているのに触れたら、“息をしている”という感覚がより明確になりました。それを蒸して止めて、こうやって淹れるとまた葉に戻る。なんか、それをいただいているって一つの生命の力をいただいている、というか。だから身体にもいいのかなって、そう思いますね」

    カイノさん自身が日本茶を日々の生活の中で飲み始めたのは、モデルの仕事を始めてからだそう。仕事と生活のリズムを自分で整えないといけない仕事柄、自分なりに一息つく時間の必要性を感じ、そんな時に心身ともに落ち着けるお茶を飲み始めたと話します。今ではそうした時間を周りにも広めているカイノさん。

    「行き着く先はやっぱり農家さんなのかなって思います」とまで話すところに、行動派な側面も覗かせます。「自分がどこまでできるかわからないですけど、(サテサテを通じてお茶を)みんなに飲んでもらおうとしている。でも年配の農家さんが多くて、若い生産者さんが少なくなってきているっていう問題もあるから、最終的に自分も生産者側になるのもありなのかなって、ちょっと思ったりもします。でも簡単なことじゃないですよね」。

    お菓子ブランドとのコラボや、放棄茶園の木を利活用する方法など、サテサテを軸にさまざまなアイデアも温めているというカイノさん。

    「サテ姐って呼ばれてます(笑)。自分の周りの若い人たちも色んなことをやっている人がいるから、そういう人たちとも何かできたらいいなって」

    クールに見えて、行動派で飾らない。カイノさんの魅力に改めて触れた時間でした。

    カイノユウ|Yu Kaino
    静岡県出身。2014年、ファッション誌でモデルデビュー。雑誌、カタログ、広告を中心に活躍。2020年、コロナ禍が一つのきっかけとなり、慣れ親しんだ存在である日本茶が同世代の人たちにとっても日常のものとなってほしいと願い、日本茶ブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」を立ち上げる。
    instagram.com/yuio2580
    instagram.com/sathe_sathe_official

    Photography: Kisshomaru Shimamura
    Text & Edit: Moe Nishiyama & Yoshiki Tatezaki

    人それぞれお茶それぞれの多様な「色」を感じることで、
    多様性の大切さを感じる特別企画。
    自然の恵みと人の手によって育つお茶をひと口、
    目を瞑って、ひと呼吸。
    香りや温度、重さや舌触り、空気との触れ合いを経て、
    目に見える以上の、
    その人にとっての「お茶の色」が心に浮かぶ。
    一人ひとりの感性によりそう、お茶の多様性。
    あなたにとって、お茶はどんな色ですか?

    COLOURS BY CHAGOCORO