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下北沢の隙間にできた1坪の お茶屋が広げるお茶との接点 [ヽ-TEN-]青木真吾さん <前編>
下北沢駅南西口から徒歩1分。そんな駅近の好立地にお茶屋さんなんかあったかなと見回していると「日常の『ヽ』に 一服いかがですか」との文字が目に入ってくる。その印象的な言葉が書かれた白い暖簾のかかる店こそ、日本茶専門の茶屋[…
2021.07.20 INTERVIEW日本茶、再発見
[ヽ-TEN-](以下、TEN)の営業スタイルは、時間帯によって変化をする(現在は時短営業中、最新情報はお店のインスタグラムなどでご確認ください)。朝はテイクアウトのみで学校や仕事に向かう人が立ち寄り、昼からは街を歩く人が店内で店主・青木真吾さんとの会話を楽しみ、夜は立ち飲み屋としてその日の疲れを癒す人らが杯を交わす。お客さんの1日の流れに合わせた形態を取っているのだ。後編では、[TEN]のコンセプトにも関係してくる店舗設計や店名の由来を中心にお話を伺った。
[TEN]の店舗設計は、茶葉の輸送や保管に使われる「茶箱」をモチーフにデザインがされている。「茶箱と店主がいれば、どこでもお茶を振る舞えるコンセプトを、今回設計を担当してくれたBORDERLINEの加藤さんがまとめてくれました。そうすれば『
話を聞いているうちに、営業スタイルも朝から昼へと移行。茶箱側面の板が街に連結するかたちで開かれる。まるで下北沢のストリートで野点をしているような感覚にも陥る。通りすがりの人々は気になる様子で店内を覗いていく。
「常連の方は店内で飲んでいかれることが多いですかね。初めての方はテイクアウトが多いですが、2回目以降はぜひ店内でも過ごしていただけたら。こういう時期ではありますが、お客さん同士の距離が近く、話しやすい空間は横の繋がりもできやすいと思います。下北の街を案内するような役割も担っていきたいですね」
「下北のバーって、お茶割りが主流なんですよ」
正直そのようなイメージはなかったが、上京して20年近くこの街をベースに過ごしている青木さんには肌感覚としてあるようだ。「夜の営業では、メニューで出しているお茶ベースの飲み物は基本的にぜんぶお茶割りにできます」。焼酎をブレンドティーで割って飲む。ここでもまた、お茶の新たな魅力が発信されていた。
その一方で、下北沢には何十年と続く老舗茶屋[しもきた茶苑大山]や[つきまさ]といった有名店もある。その街で新風を吹かせることについて、青木さんはどう考えているのだろうか。
「[大山]さんや[つきまさ]さんなどがこれまで牽引してきたこの街のお茶文化を「しっかり守りながら新しいことやっていきたいと思っています」
実際、[TEN]で出されている抹茶やほうじ茶について、大山さんからアドバイスを受けて仕入れているなど、先達からもよきサポートをいただいているようだ。この街の文化や人の縁を大切にしながら、新たなお茶の入口が生まれることに期待を抱かせる。
最後に、“てん”と読む店名の由来を青木さんはこう語った。
「『ひと休み』という意味を込めました。あと僕、個人的に読点が好きなんですよ。自分が文章を書くときにも、最後に句点ではなくて読点で締めたりして。その感覚が好きっていうのと、これだけ小さくて、立って飲んでいただくようなお店なので、日常に『、』を打つように立ち寄って次の予定までのちょっとした時間に一服しにきてください、という思いです。さっと食べられるフードもご用意していて、『いただき』というものがあるのですが、食べていきませんか?」
三角のおいなりのような「いただき」は、青木さんが学生の頃からよく食べていたという鳥取の郷土料理。頬張るとお茶との相性は抜群で、なんだか気分も落ち着く。たとえ短い時間であっても、1日のうちにお茶をいただきながら心安らげる束の間のひと時を過ごせることはなんて贅沢なのだろう。
今年も、暑い夏。夏風に揺れる白い暖簾をくぐって、至極の一服をどうぞ。
青木真吾|Shingo Aoki
鳥取県米子市出身。専門学校卒業後、飲食店アルバイトを経て、株式会社シンプリシティに入社。中目黒[HIGASHI-YAMA Tokyo]、和食料理店[八雲茶寮]で研鑽を積む。退社後はお茶とお酒に関する様々なメニューを各所で提案。2021年3月、下北沢に「ヽ-TEN-」をオープン。
instagram.com/ten.shimokitazawa
Photo: Eisuke Asaoka
Interview & Text: Yoshinori Araki
Edit: Yoshiki Tatezaki
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内容:フルセット(グラス3種、急須、茶漉し)
タイプ:茶器
内容:スリーブ×1種(素材 ポリエステル 100%)
タイプ:カスタムツール